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『ピンハネ屋』と呼ばれて

株式会社リツアンSTC 代表取締役 野中久彰

人工知能が雇用を奪うって本当?

リツアンブログから転載「人工知能が雇用を奪うって本当?」 

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5割の仕事が代替可能に?

最近人工知能という言葉がバズワードになり、人によっては、人工知能が人の雇用を奪うのではないかと心配する人もいます。

 

たとえば、株式会社野村総合研究所と英オックスフォード大学の准教授らが行ったいろいろな職業へのアンケート調査(繰り返し作業がどれくらいあるかなど)の結果、“日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能“と算出した例などがありました。 

 

 

図1:人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合(日本、英国、米国の比較)

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しかしこれはあくまでも、人々に仕事内容を聞いてそれを人為的に解釈した結果であって、技術サイドの話を含んでいません。技術サイドからすると、例えば人工知能で主要な位置を占める機械学習は、

 

1、 過去のデータから未来の予測

2、 過去のデータからデータのパターン抽出

3、 過去のデータと照らし合わせた異常値の検出

 

が主に行えることですが、これをどのようにビジネスで生かすかということはまだまだ試行錯誤の段階であり、また、これらは人の雇用を減らすのではなく、今まで人が出来なかった、商品の売り上げ予測、需要予測、在庫数の最適化などを行うものです。

 

実際にこれらを行うとなると、ビジネスモデルの理解、データの理解から始まり、仮説を立て、データをとり、仮説を検証する、という、ひたすら泥臭い作業を行うことになり、これらは、今のところ、人手でやる以外手はありません。

 

雇用が減ることに対して心配するのであれば、人工知能というよりは、まずは、“自動化”に警戒するべきです。これは現在進行形で、世界中で雇用を奪っています。

 

人工知能より“自動化”に警戒すべき 

“自動化”はかなり広い意味を持ちます。

自動改札機

たとえば駅の自動改札機。切符を確認する駅員さんの数が減りましたね。でも、改札で並ぶ必要がなくなりとても便利になりました。急いでいる人にとって、自動改札機はとてもありがたい存在です。

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航空券のネット予約

他には、例えばチケットや航空券のネット予約システム。今や、人が受付することなく、チケットの販売から決済まですべて人手を介さずにできるようになり、その分、雇用は減りました。しかし、使用する我々としてみれば、24時間いつでも予約でき、チケット売り場まで行く必要はなく、とても便利ですね。

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自動販売機

道端にある自動販売機もとても便利です。みなさんも当然一度は利用したことがあると思います。

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以上3つ例を挙げましたが、どれも、顧客へのメリットも大きく、運営する側にもメリットが大きいものです。しかし、もし自動化しなければ、本来雇用できなかったはずの人を雇用できたかもしれないのも事実です。

 

その一方で、自動化を行ったからこそ、事業拡大により、資金的に余裕ができて、逆に運営側で雇用が増えたかもしれません。もし昔のままだったら、競合サービスに負けて、そもそも企業が破産していたかもしれません。どの選択肢をとっていれば雇用が最大化されたかというのは、だれにもわかりません。

 

雇用だけではなく様々な側面から評価すべき 

今までの例を挙げてみて、みなさんお気づきかもしれませんが、大事なのは雇用だけではないのです。

 

1、 顧客の利便性

2、 企業の経営メリット

3、 企業の存続

 

も無視できない要素です。

様々な要素を、考慮したうえで、その中で雇用を守ることを考えないと、雇用を守ろうとしていたはずが逆に雇用を減らしてしまったということになりかねません。

 

特に、今は、グローバル化とインターネットの普及により、変化の速い時代となり、どの企業もいつ競合に負けてしまうかわからなくなりました。アメリカでUberの登場により、既存の大手タクシー会社が破産したのはそれ一例にすぎません。

 

biz-journal.jp

 

 

人工知能は雇用を奪わないのか?

上の例では、直近は自動化により雇用は喪失していくことを書きました。

 

では人工知能はどうなのでしょうか?

 

上で書いたように現状人工知能で多くの割合を占める、教師有の機械学習と教師なしの機械学習は、本格的なビジネス化にはまだ遠い場合が多く、ビジネスに使えるようになっても、今まで人が出来なかった大量の情報を解析した結果を用いて、ビジネスsolutionを提示するもので、人の雇用を奪うようなものではないことを書きました。

 

しかし、今までにないスピードで、人々の仕事を奪うと考えられている人工知能も実はあるにはあります。

 

”強化学習”です。

 

強化学習については、書籍も少なく、理解している人は、本当にごく少数です。特にロボット制御の分野で使用されていますが、最近は、囲碁のアルゴリズムでも使われるようになってきました。世界最強棋士の一人にGoogleのAlphaGoが勝利したのは記憶に新しいところです。

 

wired.jp

 

しかし、AlphaGoは、囲碁に特化したアルゴリズムであり、自分でホテルから家に帰ることも、会話することもできません。現在強化学習は、汎用性にきわめて欠けています。1つのタスクについては強化学習できるのですが、基本的に一つのタスクに対して特殊な強化学習のコードをいちいち書かなくてはなりません。

 

強化学習が人の雇用を奪えるかというと今すぐはかなり厳しい面があります。強化学習は、まだまだ一部のことに特化した技術であり、また開発できる人数が非常に少ない現実があります。

 

まとめ

直近では自動化が、雇用を奪う(奪っている)最大の要因で、その次に来るのは、おそらく強化学習です。自動化は単なる同じ作業の繰り返しで改善がありませんが、強化学習は改善があります。

 

単なる自動化では対処できなかったことも、強化学習を用いればより複雑な案件・仕事もこなせるようになり、今まで“自動化”が奪ってきた自動化でできるような仕事だけでなく、より高度な仕事も奪うことができ、最終的には大部分の仕事が強化学習を取り入れた自動化により置き換わってしまう、と危惧されています。

 

しかし、強化学習が雇用を奪うなら、強化学習についての、研究とビジネスを禁止すればいいという簡単な問題ではありません。

 

強化学習とはいえど、単純な自動化と同様、顧客の利便性・競合優位性・企業の存続などを考えたうえで、その中で“雇用を守ること”を考えなければなりません。

 

強化学習を導入することで雇用が増えることも十分ありえます。事実Googleは強化学習により、検索能力の精度を高め、広告収入のアップに拍車をかけ、Googleが様々なビジネスに手をのばすことに貢献し、Google内での雇用増加に貢献しました。Googleの広告主にも、アプローチしたい顧客に効率的にアプローチ可能にし、各企業の売り上げを上げることで、各企業の雇用増加に貢献しました。

 

強化学習の導入により、失われる仕事もあれば、生み出される仕事もあるので、しっかり最新の技術にキャッチアップして、これから生み出される仕事が何なのか、しっかり予想できると良いですね。

 

僕は、”最新技術”その答えの一つとして、”機械学習”があると思っています。

 

キーワードとしては、教師有学習、教師なし学習、強化学習、ニューラルネットワーク、自然言語解析、画像解析、あたりです。

 

何かご参考になることがあれば幸いです。

 

鈴木瑞人
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 博士課程1年
一般社団法人Bizjapan

 

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