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『ピンハネ屋』と呼ばれて

株式会社リツアンSTC 代表取締役 野中久彰

栗山さやかさんについて

今日は、本業とは関係ありませんが「栗山さやか」さんという女性をご紹介させて頂きます。彼女は、いまアフリカのモザンビーク共和国のリシンガというところで戸籍がないなどの理由で学校に行けない子どもたちのために公用語のポルトガル語を教えていたり、貧困層の女性たちには衛生指導や職業訓練などの活動をしています。2009年10月に「アシャンテママ」というNPOを1人で立ち上げました。モザンビークはアフリカの最貧国の1つで、特にリシンガは非常に危険な地域。殺人、強盗、汚職、病気が蔓延しています。 

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もともと彼女は「アフリカ」とか「NPO」とかそういったものと無縁の生活をしていました。東京の短大を卒業してからは渋谷109のショップ店員それから店長。ただ、彼女の活動には、その当時の経験がいかされています。例えば、頑張って学校に通った子どもたちには洋服、サンダルや文具などを報酬としてプレゼントしたり、また女性にはスタンプカード制を導入して、講習に出席すればスタンプを1回押す、それが20個たまれば食料品や蚊帳などと交換するなど経験がいきています。この他にも彼女は、毎月1人15円の積立をして、病気で入院してしまったときの費用、泥棒や強盗に入られてしまったときの保険、畑労働、マイクロファイナンス等の自立支援や緊急時の食糧援助などもしています。

 

今回、なぜ僕がブログで彼女を紹介したかといえば、実は彼女、僕の高校野球部時代の後輩のマネージャー。僕が3年生の頃に入部してきた1年生です。彼女の活動は、彼女が25歳のときに小学校から高校まで一緒だった親友の死がきっかけとなりました。この親友(平田由佳)も僕の野球部の後輩マネジャー。2012年の秋ごろに、当時の母校の校長先生とたまたま食事をする機会があり、その際にさやかの話を聞きました。もちろん人づてで平田由佳の不幸は聞いていたけれど、それをきっかけで、さやかがアフリカで活動をしていることは知りませんでした。だから話を聞いた時は本当に衝撃的でした。

 

誰しもがそうだろうけれど、子どものころアフリカの貧しい少年をテレビなどで観て何かしてあげたいと感じたと思う。自分は、いまは子どもだから何もできないけれど、将来、大人になったら何か必ずと。でも、大人になった僕は何もしていない。だから彼女の話しを聞いたとき、それを実践している方が身近にいて衝撃を受けました。しかも、それが初々しく可愛らしいイメージしかない後輩マネージャーのさやかだったから余計にそうでした。先輩として恥ずかしいというか、頭が下がる思いというか、会社や家族のことしか考えていない自分自身が恥ずかしくなったことを覚えています。

 

彼女とは、彼女を支援している「さやかさんを応援する会」の河田さんにお願いして2015年1月と12月の2回お会いさせて頂きました。というか彼女、2006年2月に日本を飛び出してからこれまで2回しか帰国をしていません。1回目の15年12月の一時帰国は実に9年ぶり。理由は、渡航費がモザンビークでの生活費1年分に相当するからと自分のことよりも協会へ資金を回していました。そして、帰国しても彼女が日本に滞在している期間は短い。この短い期間中に新聞や雑誌などの取材や講演等、本当に忙しい日が続いていました。そんな多忙のなか僕なんかのために彼女は貴重な時間を割いてくました。

 

お会いするのは高校卒業して以来の20年ぶりです。彼女がいまいるアフリカと日本とでは生活環境は大きく違う。また、彼女がいま生きている世界は僕なんかはテレビで知るだけの映像の世界。だから、彼女とどんな話をしていいのか?興味を優先した自分本位の話ばかりしてしまわないだろうか?自分の無知ゆえに彼女にとって失礼な言葉を発してしまわないだろうか?自分から河田さんにお願いしておきながら考え込んでしまった。ただ、幸いなことに彼女とは野球部時代の過去を共有した仲間、だからそれほど心配する必要もなく皆で楽しい時間が過ごせました(まぁ僕は一人でお酒を飲んでヘロヘロになっていただけですが)。特に2回目の帰国時は、彼女とゆっくり話ができ彼女の今後についても深い話が聞けました。

 

この2度目に帰国した理由は、(公財)会貢献支援財団の「平成27年度社会貢献者表彰」の表彰者に彼女が選ばれたから。僕もこの表彰式に参加させてもらいました。表彰者は、さやかだけではなく他にも沢山いて、皆さんどれもすばらしい活動をしてこられた方ばかりだった。身寄りのない子どもたちのために何十年も毎日夕飯を作ってあげている広島のおばちゃん、長年病床にあった妹さんの死をきっかけにそれ以来、何十年も病気や障がいをもつ子どもたちのために本や絵本を届ける活動をしている北海道の女性、日本国内でフリーランスの医師をしながら年に数回、カンボジアに行って治療をするお医者さん等々。僕が知らないだけで日本には本当に素晴らしい方が多いんだなぁ~と深く感心しました。

 

ただ、それと同時に、誤解がある表現かもしれないけれど、皆さんが活動する際の資金は決して潤沢でないようにも思えた。世の中にとって必要なことをやっているにも関わらず多くの皆さんが何かその部分で苦労しているように思えた。社会にとって害があることをやっている者が多くの利益を得て、必要なことをやっている方が苦労している、そこに社会の矛盾というかアンフェアな感じがしてしまった。もちろん、僕のようなお酒ばっかり飲んでワイワイしている体たらくが、素晴らしい活動をされている皆さんを論じてはいけないことは承知しているが、自分が表彰式に参加さてもらって、ただただそう思ってしまった。

 

僕個人の意見だが、企業の社会貢献活動と聞いて一番最初に思い浮かぶものは「環境活動」だ。もちろん企業のエコ活動も大切だ。でも、企業が彼らをサポートすることもこの環境活動と同等の意義があるように思えた。何か「サポートする」と表現すると上から話をしているようでおこがましく彼らから怒られてしまうかもしれないが、彼らの活動の片隅でもいいから企業が参加させてもらってもいいはずだと思った。大企業は別かもしれないが、リツアンのような中小企業は、社会貢献活動の主役にならなくてもいい。それよりも彼らが活躍する環境を整備する黒子役にリツアンがなってもいいはずだと思った。むしろ、そちらのほうが社会の役に立つだろうし、社会貢献という目的は達成できるように思えた。

 

会社は利潤を追求しなければならない。利益は、企業を存続させるためのツールだからだ。ただ、余剰の利益は社会へ還元すべきだとも思う。リツアンは、本業でフェアに戦い利益を得る。得た利益を自分たちには真似できない彼らに投資する。その資金が少しでも彼らの活動のお役に立てれば、彼らの活動範囲も広がり社会がより豊かになる。その循環こそがポジティブサイクルだと思った。

 

リツアンは、数年前からさやかのアシャンテママに毎月寄付をしている。ただ、寄付といっても本当に微々たるもので公表するのも恥ずかしいほどの額。なので寄付のことは社内でも数人しか知らない。でも、これからは公にしていこうと思っている。寄付というよりも、もう少しダイナミックにリツアンらしく。

 

アシャンテママの活動は、子どもたちへの教育や貧困層の女性たちへの職業訓練だ。つまり、子どもたちは将来、女性は近い将来、彼らが働いて自立することを1つのテーマに活動している。リツアンも労働者の新しい働き方をテーマにしている。なので、そこには類似した共通項がある。もちろん国や環境は違うが「働く」という同じキーワードがある。

 

さやかへは先日、Facebookのメッセージでコンタクトをとった。世間ではネガティブなイメージを持たれているピンハネ業のリツアンが彼女の活動の片隅にでも参加してしまえば、彼女のこれまでの活動を汚してしまわないか不安に思ったからだ。ただ、ピンハネ業の中でもリツアンはまだましなほうだとも思う。彼女の活動に参加させてもらうという責任が、もしかするとリツアン自身を律することにもなるのかもしれない。だから今回、寄付という行為からもう少し踏み込んだかたちで参加させてもらおうと決意した。

 

具体的には、エンジニアが一人増えれば毎月1,000円、基本ベースとなる投資額とは別に積み重ねていく。もちろんエンジニアの給料からではなくリツアンの利益から。エンジニアが集いリツアンが発展すれば、それに比例してアシャンテママの活動も広がる。なにか共に歩めるような気がして。派遣料金をオープンにして、派遣賃金はどこよりも高く設定して、そこで得た利益を社会へ還元する。だらか、たぶんエンジニアも賛同してくれるはず。もう少し詳細が決まりましたら、またご報告いたします。

 

最後に先に紹介した身寄りのない子どもたちに何十年も食事を提供している広島のおばちゃん、彼女は中本忠子(81歳)さんという方なんですけど、彼女の「お腹が一杯になれば子どもたちは悪さをしない。空腹が子どもたちを非行に走らせる」との表彰式で話した言葉が僕は非常に印象的でした。なにかそこにヒントがあるような気がした。アシャンテママも子どもたちは学校にくればお昼ご飯は一杯食べれるらしく、そこらへんが色々な問題を解決するための近道のようにも感じました。

 

彼女のいまの活動は、彼女のブログ『プラコ旅する』で知ることができます。

purako.jugem.jp

また、下記の2冊からも活動を知ることができます。

なんにもないけどやってみた――プラ子のアフリカボランティア日記 (岩波ジュニア新書)

渋谷ギャル店員 ひとりではじめたアフリカボランティア

  『さやかさんを応援する会』のブログでも詳細な情報が掲載されています。

sayakabokin.hamazo.tv

こちらのインタビュー記事からでも彼女の人柄が伝わってきます。

talked.jp

『日経ビジネス』次代を創る100人にも選ばられました。

business.nikkeibp.co.jp